ドラグのしくみ
今日はスピニングリールのドラグのしくみについて。
ドラグ内部の構造
とりあえず分解してみた。
上の写真は、18エクスセンスCI4+のドラグノブからスプールまでのパーツを順番に並べたもの。
スプールとドラグノブの間には、金属座金という円盤状の金属と、ドラグ座金という柔らかい素材の2種類のワッシャーが交互に挟み込まれている。ドラグ座金はフェルトのような柔らかい素材のものが使われる事が多い。また、座金周辺にはドラグ用のグリスでグリスアップしてある。
ドラグ調整の原理
ドラグノブを緩めているとき、スプールは簡単に糸を放出する方向へ回転する。ドラグノブを徐々に締め上げていけば、スプールの回転に抵抗がかかり糸が出にくくなってゆくところまではなんと無くわかる。でも、実際にドラグノブを閉めると具体的に内部では何が起きているのか。
上の図はリールを横から見たときのスプールの断面図。ドラグノブを締め込まずにゆるゆるにしたままだと、金属座金やドラグ座金とスプール内の底面はスカスカな状態。この状態でスプールに力が加わると座金同士が滑ってスプールは簡単に回る。
ドラグノブを締めてゆくと図の赤の両矢印が示している距離が短くなってゆく。で、この間にある金属座金とドラグ座金の間や座金とスプール底面がギチギチに押し込まれるので座金やスプール底面との摩擦が増え座金とスプール内の底面との間で滑りづらくなり、外からスプールに力がかかっても回転しにくくなる。
これがドラグの原理。ベイトリールも大まかな原理は同じ。
ドラグの音がでる原理
ここまでの説明ですこし疑問を感じた人がいるかもしれない。ラインが出る時のあのドラグ音はどこで鳴っているのかという疑問。ドラグはさっき説明したスプールの滑りを調節する部分と、スプールの回転に合わせて音を鳴らす部分があり、それぞれ別々の部分に搭載されている。
で、音を出すところは大抵スプールの裏部分とメインシャフトについてる。上写真はエクスセンスCI4+のスプール裏側とリール本体のシャフト周辺を映したもの。
ドラグの音を出している部分は、スプールの裏のL字の金属(スプールピンという)と、シャフトについている大きめの黒いギア(ドラグ音出シラチェットという)の部分。スプールピンは機種によっては、スプリングのついた三角形の針だったり、人生ゲームのルーレットのプラスチックの針みないなのだったりといろいろバリエーションがある。
この二つのパーツはスプールをシャフトに通すと、ちょうど針先がギアにかみ合うようになっている。スプールが回ると針がギアの歯を切って隣の歯にぶつかり、あのドラグの音が出るというわけ。
ドラグの性能を保つためのポイント
と、ここまでは、雑学のような内容になってしまったので、最後に役に立つ情報を少し。
先の説明で出てきたドラグ座金というパーツ、やわらかい素材なので使用していくとへたってしまい、締めても締めてもスプールが回ってしまうようになる。一般的にこれを予防するには必要な時以外はドラグは緩めておくといいと言われている。
ただし、釣行後の水洗いの時はドラグをしめていないと水が座金のところに入ってしまうので、水洗いをするときはドラグを締め込み、乾いたらドラグを緩める ように。
ただ、今のリールはずっと締め込んでても座金がへたりにくいから緩めなくてもいいと言うメーカーの人もいるので、この辺は自分性格とかと相談でいいと思う。
余談
ちなみに、大型青物狙いなどギチギチに締め込んだドラグをギュルギュル鳴かせるような過酷な釣りに使うリールは、ドラグ座金に耐久力のあるカーボンクロスというカーボン素材の座金が使われる。カーボンクロスは耐久力はあるが、ドラグの滑り出しの滑らかさではフェルト素材の方が優れているので、番手とか使用ラインとか対象魚で使い分けられたりする。
最近だと22ステラには耐久性を上げたフェルト座金が登場していて、意外と大事な部分だったりする。