IK500を自作する 部品選定のポイント

自作の最難関は部品集めである

少し前に書いたIK500の自作記事。作業工程と具体的な部品は記事にまとめたけど、実際この手の自作で大変なのは部品選定だったりする。

僕は通販と近くのホームセンターや100均で部品を集めたけど同じ部品を全て集めるのはほぼ不可能で、そうなると各自で手に入れられる部品で工夫してもらうことになるんだけど、その時に迷宮入りしたり失敗しないように各部品に求められる条件をここに書いておこうと思う。

各部品の解説

では解説。僕が選定に悩んだ部品ごとに説明します。

大滑車

まずはメインパーツの大滑車。今回は筋トレ用の滑車で代用しましたがこんな条件で探してました。

①直径は100mm以上
②ベアリング式
③側面が平面になっている

① テンショナーとして強い抵抗をかけると、滑車とラインの間の摩擦力よりも滑車の回転抵抗の方が大きくなり、ラインが滑車の上で滑ってテンションがかけられなくなる現象が起きます。ですんで、直径を大きくすることでラインと滑車が触れる面積を増やし、高いテンションでも滑車を回せるようにしました。
今回は5kgのテンションがかけられると言う目標があったので、ざっくりと100mm以上で選んでみました。

② IK500の動作原理上、ボルトと滑車の接点には相当強い力がかかります。ですんで、ボルト接点が摩耗しないように耐久性のある素材がいいよねってことでベアリングになりました。

③ こーれが一番大変だった条件。IK500の動作原理上、滑車本体を座金で側面から締め付けるために座金を押し付ける平面が必要。でも滑車ってこう言う使い方を想定して作ってないからこの平面がある滑車を探すのがとっても大変でした。結局IK500と同じくらいの大きさの滑車にしたかったのに、この条件のせいで今回はこのサイズで妥協しました。

①〜③の条件を満たすなら滑車じゃなくても荷台用のキャスターとか車椅子の前輪とかでいいと思う。その方が安いし。

平アングル

意外とここも大切で、条件は3つ。

①両端に穴がある
②穴の感覚が滑車の半径よりも大きい
③幅が丸座金よりも大きい

①②平アングルの目的は座金層に回転しない層を入れることです。これがないと滑車が回った時にハンドルも回ってしまってテンションが変わってしまう。今回は滑車軸に挟んだアングルを滑車の外でも固定することで回転を防いでいます。なので条件としては穴が2つあり滑車をまたげる長さが必要ってことで①②の条件ってわけです。

③ 動作原理としてはハンドルを締め込んで平アングルを通して座金に力を加えるわけですが、座金全体を平アングルが覆っていないと均等に力が加わらず高いテンションがかけられなくなると考えられます。残念ながら今回は条件にあう部品を見つけられずここは妥協したので、今回のこの部分は座金を覆いきれていません。幸い目標の5キロのテンションがかけられたのでこれで良しとしていますが、もっと高いテンションを求めるのであればこの辺もきちんとすべきです。

小滑車

求める条件は3つ。

①ベアリング式
②直径30〜40mm
③内径M8以上

①③はやはり強度上の都合。特にリール側の滑車は強い力がかかるのでベアリングで太軸の条件にした。②は大きい方が受けと回りに余裕があるかなと思って大きめに。
今回の自作においてはいたずらに小さくする必要はない部品だとおもう。

大滑車の軸ボルト固定パーツ

方法は問いませんが、ボルト自体がハンドルや滑車や座金と連動して回らないようにしてください。今回僕はシンプルなボルトに角座ナットを締め付けてビス止めしたら回らなかったのでこれを採用しました。ほかにはフランジ処理したボルトとナットで台座をしっかり挟むとか、ボルトの頭をレンチにはめてレンチごと台座に固定するとかがいいとおもいます。

滑車と座金間のアジャスター

これは今回のメインの滑車と同じ滑車を使うのであれば用意しないといけない部品。まずはこの角座の役割を説明します。今回の滑車はベアリングの内受けが側面の平面よりも外側にせり出しているため、このまま組み上げても座金が滑車平面に触れられず滑車の回転に抵抗をかけられません。そこで座金から滑車平面へ力を伝える部品が必要となり、その部品がこの角座というわけです。この角座はベアリング内受けのせり出しよりも厚さがあり、中央には内受けの直径よりも大きい穴があいているので内受けに干渉せず滑車平面を座金と繋ぐことができます。
でもまー大滑車の条件③で妥協しなければこんな部品いらないんですけどね。

総括

解説は以上です。今回の自作はぶち当たった問題を部品選定で解決したケースが多かったので、その時に分かったことをできるだけまとめてみました。
動作原理を理解していれば問題が出ても創意工夫で乗り越えられると思うのでとりあえず手に入る部品で作ってみることをお勧めします。