【オルルド系ルアーを評価する】格安リップレスルアー【インプレ】

僕はAmazonがすきだ。
好きなルアーを検索してレビューを見ながら、おすすめ商品に並ぶルアーをザッピングする楽しさは店頭で棚の前でルアーを漁るのとはまた違った楽しみがある。

ところで、アマゾンでルアーを漁っているとひときわ存在感を放つシリーズがある。有名ルアーに激似でありながら6本くらいのセットで2000円前後というあのシリーズだ。「あのシリーズ」っていう表現を使ったのは、関連法令とかのコンプライアンスに配慮している訳ではなく、単純にあのタイプのルアーたちを指す名称がないから。僕個人としてはジェネリックルアーと呼んでいるので、今回は便宜上ジェネリックルアーと呼ぶことにしよう。

このジェネリックルアー、あまりの破格の値段に逆に手を出さない人も大勢いると思う。そこで一つ。みんなが気になるどんなもんなのよジェネリックルアーって疑問にこたえるべく、今回はジェネリックルアーの品質を本物と比較したいと思う。ちなみにジェネリックルアーのジェネリックっていうのは、後発医薬品って意味のジェネリック医薬品からとってきています。オリジナルルアーと同等という意味で使っていて、特にそれ以外に他意はないのでよろしく。

ジェネリックルアーつってもいろんな銘柄があるので、今回はその中の銘柄のひとつ、「リップレス 爆釣ミノー フローティングミノー」について調べてみたい。しょっぱなから名前について突っ込みが入りそうだが、こうとしか書いてないので仕方ないw アマゾンの商品名からとってきたんだけど、検索キーワード対策のし過ぎでもはや商品名じゃなくなっている笑 さすがに長いのでこの記事の中ではコモモジェネリックとよびます。

名前からわかる通り、モチーフはimaのkomomo、サイズとウエイト的にkomomo counterですが、底面リア側の溝とかリップの面積など、現行のkomomo counterとは微妙に違うところがある。ルアーにはデザインの特許のようなものがあり、まるっきり同じものは作れないのでこの辺で特許回避をしているのかもね。



◆基本スペック

アマゾンの商品説明欄に記載されている基本スペック
サイズ :120mm
ウェイト:18g
タイプ :フローティング
レンジ :-
補足  :
ブルピンイワシ、ボラ、レッドヘッド、チャートバックパール、キャンディー、アカキンの6本1セット




◆インプレッション

【品質】
ネコポスで到着。便利ね。
まずは測量。一本だけ16g台のものがあった。それ以外は17g台で結構ばらつきがある印象。自分の中では18g前後のルアーなら±2gが許容範囲なので重さのブレは問題はない。10g以下のルアーなら嫌なばらつきだけどね。サイズに関しては大きさやアイの位置関係はばらつきなし。型成型だろうからずれようもないから当然。


【見た目】
ジェネリックルアーにありがちなウィークポイントその1「成形・塗装の雑さ」チェックしました。
成形で目立つのはバリとりの跡。モナカ貼り付けの接合部のバリを刃物のようなもので削った跡がばっちりついている。次に書くけど塗装が薄いのも相まって、形成時のこうした処理跡とか、バルクをぶつけたへこみ跡とか、付着したゴミの上から塗装した跡とか、すごいあります。一方、逆に予想以上でびっくりしたのは、塗装自体は非常に層が薄く繊細な仕上がりで質は高いこと。それこそ、きれいなバルクに施していたらかなりきれいに仕上がっただろう。

残念なのは、塗料とバルクとの相性からくる耐久性。相性の良い組み合わせなら多少ぶつけても塗装が剥離することはないし、フックの自傷にも長期で耐えてくれるが、このコモモジェネリックは塗料のバルクへの食いつきが悪く剥離しやすいようで、箱出しの時点でフックの自傷跡があった。余談だがオリジナルであるimaの塗装は質が高く、引っかいたりぶつけたりしても一切塗装剥がれが伝染することがないので、カラーによってはトップコートなしで長く使えます。塗装とトップコートはとても奥が深く、ここではとても全部は説明しきれないけど、安いなりの理由がやはりここで垣間見れた気がする。


【フック】
ジェネリックルアーにありがちなウィークポイントその2「フック」。中~上級者アングラーなら結構気になるポイント。早速チェック。

するとさっそく問題発生。フックの大きさが揃ってない。デフォルトでついているフック18本のうち80gが16本、60gが2本。60gは明らかにサイズがひとまわり違う。部位によってサイズを変えているにしても数が合わない。60gのほうが例外だと思うので、80gのほうの品質を今回はチェック。微妙に形が整っておらずシンメトリーは悪い。大きさはスティンガーの#4から#5くらい。

オリジナルのコモモとの大きな違いは、アイ平面の方向とコーディングの有無。フックに対するアイ平面の方向は、オリジナルはアキシャル、本品はラジアル。コーティングについては、オリジナルはなし、本品は防錆目的と思われる黒いコーティング加工。そのせいかちょっと軸は太い。意外とフックポイントはシャープで悪くない。

気になる強度はどうか。力を定量できる装置が身近にないので、シンプルにペンチで曲げてみる。フックアイを万力で固定し、フックポイントからバーブの奥3ミリくらいの範囲をペンチで挟んでベンドをほどくようにペンチをねじる。20度くらい粘ってからフックの伸びが始まる。スプリングバック効果は多少得られそう。捩じり続けると70度あたりで黒いコーティングがはじけ飛び軸が露出、80度くらいで軸が破断した。力は結構かけていたので2本以上フックアップしていればランカーでも伸びたりする問題はなさそうな印象。80度開いて破断したが80度開けば折れずともフックオフするので問題はないと思う。

簡単に防錆性能も試してみた。汽水域の河口で使用し、帰宅してよく水洗して数日保管する操作を3回繰り返す。安物は1回で錆びる。正直コモモジェネリックも期待はしていないかったけど、なんと余裕で耐えた。アイ、スプリットリング、フック、すべてにおいて微塵の錆もなく、この点は素直に関心した。ちなみに、デフォルトのスプリットリングは指で開けるほどゆるゆる。便利ではあるけれど。笑


【キャスト・アクション】
ここからは実地へ出向き実際に使って確認していこう。
まずキャスティング性能に関して。安価ながらも重心移動も再現されていて、危なげながらも機能しており姿勢は安定。オリジナルと同じように飛ぶと考えていいだろう。

アクションに関しては、オリジナルとの違いが顕著だ。外観を比較した時点で、リップ面積が違う点や、ボディーの大きさが若干違う点などが確認されていたが、やはりアクションも違った。オリジナルはロールをしながら直線的に泳ぐが、コモモジェネリックはテールを振りつつ若干S字の軌道で泳ぐ。オリジナルのロール主体のチャリチャリとしたアクションはコモモが支持される大きなポイントがと思うが、それが再現されていない。ほかのルアーで例えると、サイレントアサシンの129とかタイドミノ―140をゆっくり引いた時のような動きに似ている。悪くはないと思うが、コモモと思って使うとギャップがあるだろう。あと、若干動きに安定感がなく、フローティングの割には水面から飛び出しやすいので注意。

結論として、キャストは問題ないけど、アクションの再現性はいまいちでオリジナルとは似て非なるって感じ。ちなみに、今回はアクション確認のため昼の時間帯に確認をしていたけど、アクション確認中に50センチくらいのシーバスのバイトがあった。オリジナルとは違うからと言って使えないルアーではなさそう。



◆まとめ

以上の特徴を踏まえて総評すると

①ハードコンディションで酷使したい人
②初心者でとりあえずルアーを増やしたい人

そんな方々は重宝するんではないかと思う。
検証して分かったコモモジェネリックのいいところは、トラブルなく使えてフック周りも実用的な品質なこと。だから、歯が鋭い魚狙いだったり、ゴロタでの使用だったり、ルアーの傷みが激しい釣りをする①の人には適していると思う。②に関しては、釣りは初期投資のかかる趣味だから、釣果はとりあえず置いといて単純に初心者がタックルボックスの隙間を埋めるにはいいと思う。実際僕もコモモジェネリックを購入してタックルボックスに収納するときは素直に楽しかった。

逆に、

①オリジナルがほしいけど妥協して購入を検討している人
②自分で使い方を考えられない人
③確実に取り込みたい釣り

そんなケースでは使用には向いていないと思う。
①に関してはまず第一に形も動きもコモモじゃないからね。コモモが欲しい人はオリジナルを買おう。

②だが、コモモジェネリックの製品説明ってアマゾンの商品説明欄以外に存在しない。アマゾンの商品説明では、このルアーの潜航深度すらわからない。ウォブ?ロール?おすすめの使い方は?ひとつずつ製品説明書とともにパッケージに入っているルアーなら、製品の特長がパッケージに書いてあって、こうするように作ったっていうコンセプトがわかるし、こういう時に使え、こう動かせ、みたいなのが初心者でもわかる。このルアーはそういうのがない。このルアーを使いこなすには、ルアーを実際に投げたり巻いたした時に、こういう時に使えそうっていう想像できる力が必要だと思う。

③の理由は規格にムラがあったから。フックの実用性は今回証明できたけど、品質規格に幅があればすべての製品で今回の結果を当てはめるのは難しい。バルクの仕上がりもちょっと不安な気がした。フック周りをきちんとしたものに変えて対策しても、ちょっとした衝撃でボディーが割れるなど、予想外の破損で取りこぼすこともあるかもという気がした。時合いで大物の気配漂う大一番は、まだコモモジェネリックには任せられないかな…。この辺は今後の使用で信頼を勝ち取ってほしいと思う。

以上!コモモジェネリックの検証でした!軽い気持ちで始めた企画だったけど結構がっつりな内容になってしまった。笑
でもすごく楽しかったので今後もほかのジェネリックルアーでも検証したいです!

ちなみに

僕のコモモジェネリックの使用例の一例です。(写真下。上はオリジナル)
真ん中のフックは取り外し、ゆるゆるだったスプリットリングはすべて平打ち#4へ。リアフックはスティンガートリプル#4または#3に変更。スティンガーはサーフの一軍ルアーのフックを新調した時の使用済みおさがりを研ぎなおして使用。今回の検証でデフォルトの80gフックが意外とシャープでパワーもあることが分かったので、フロントフックにそのまま採用。ハードな磯打で大活躍の予定。本当はオフショアのサワラキャスティングに使いたかったけど、フックが太軸でサワラの口蓋を打ち抜けなさそうだったことと、早巻きで飛び出しやすく使いにくそうな感じがしたので断念し、急遽磯仕様へ。